あたかも、普遍と個との間の行き来は、現実の舞台で行われるのに反して、普遍的なもののなかでの生活は、ただ舞台背景の書き割りに、描きこまれていくかのように見えるものである。
フランツ=カフカ(『実存と人生』第四のノートから)
夜の到来、影の侵入
芸術はある特殊な型の現実を認識するわけではない。ー芸術は認識とは際立った対比をなすものなのだ。芸術は不分明化という出来事そのものであり、夜の到来であり、影の侵入である。
(エマニュアル=レヴィナス『レヴィナス・コレクション』「現実とその影」より)
言語は思考を前提するのではなく、これを実現する。
わたしたちは内的な言葉や外的な言葉によって、自分の思考を示すのであり、[言葉で表現することは]実際には思考の経験なのである。
もちろん思考は、一瞬のうちに稲妻のように進む。しかしわたしたちはその後、思考を自分のものとする作業をしなければならない。そして思考が自分のものとなるのは、表現によってである。
メルロ=ポンティ『知覚の現象学』より