浅田彰『構造と力』より
●ドゥルーズからの、リゾーム概念(セミラティス・網状交差図式)から二手に分かれて一方は、マトリクス(子宮)へ。一方は、マトリクス組織へ。二つ同時に何かの瞬間にまた一気につながった。
●一つはまさしく出産=母体=子宮という意味での「マトリクス」と舞台美術でたまたま考えていた「網状交差図式」が、つながったことでより確信を得たこと。
●もうひとつは、マトリクス組織。仕事の方の組織について。以前ここでも「サテライト型組織図構想」というものを書いていたが、わざわざ一から立ち上げずともあったようだ。マトリクス組織という概念が。
わたしとしては単純に、軍隊式の単一情報系統であるところの「ツリー構造」ではなく、実態に合わせた構造を図式化したかっただけだった。そのなかでたまたまリゾームを発見した。再発見といったほうがいいか。リゾームからマトリクスにたどり着けたことが幸いだ。そこからまたマトリクス組織図というものに繋がれた喜びもある。
●以下、代表的な組織形態を参照。
●調べていくとなるほどいろいろわかる。一般的に小規模企業では「職能型組織」と言って、製造なら製造、営業なら営業ととにかくその自分の職能は高まりやすい一方で、「業務プロセスが細分化し,プロセス間を渡る間に生産性が低下したり、縦割り組織になり、全社最適化よりも部門最適化になりやすい」という弱点が出る。
そして、これは数名のごくわずかな組織では有効らしい。なるほど、数名なら部門間の組み合わせも少ないし、部門内でのリーダーもはっきりしやすい。その人しかいないというケースも多々あるだろう。だから、効率的なのだし、ある意味では儲かりやすいとも言える。
●しかし、数十名になってくると、事情は変わる。ある案件においてはこちらの人の方が詳しいが、こちらはダメということも往々にしてある。さらにいえば、何か一つができるから上長であるということにすると、評価の形が結局歪んでしまう。社長はなにもかもが誰よりもできないといけないということになってしまう。
本来であれば、プロジェクトとか、あるいは生産の内容によってリーダーが変わったり、もっといえば営業のスタイルによってもリーダーは変わってもおかしくないのだ。
マトリクス型組織図の欠点として「命令系統が複雑になり、複数の報告関係が公式に存在するので,責任を負うべき管理者があいまいになる傾向がある。」とあげられているが、だからこそ情報の系統をITなどをつかってオープンにして、一発でできるだけ広く情報共有できる方法にこそ力を入れる必要がある。
そして、責任に関しては、責任を取ってもらうつもりもないし、そもそも誰にも責任など取れないと思っている。誰かをそれこそ吊し上げにすることが責任を取ることなのだろうか。責め立てることなのだろうか。そんな責任ならいよいよ必要ない。
ただ、担当者意識(今流行の言葉で言えば、「じぶんごと」)としては考えてもらう必要がある。それはまた別の話で、今度はストーリーや信の話になる。責任の話からはそちらにつながらずそこで話は切断される。
●そんなこんなで仕事の組織について考えながら、同時にこの構造をどうやって舞台の中に取り込めるか考えはじめたらまた楽しくなった。そして、先週末に思いついた美術の方向で間違いないことを確信したし、あとは書くだけだと思っている。
こちらも舞台の上を二重構造にすることで、いよいよ書けそうな気がしてきた。