雲の溜まる休日(初演)

鬼に金棒!Vol.5 『雲の溜まる休日』
2000年5月3日(水)〜7(日)
中野・劇場MOMO

作・演出:黒沼佰見
照明:入江友子
音響:小金井伸一
舞台監督:鈴木健司
制作・演出助手:倉光仁美

出演:
ナミ雲‐澤村めぐみ
ワタ雲‐用松豪
ユキ雲‐山崎まさ美
ヒツジ雲‐山口真
若い妻‐小関裕子
若い夫‐吉田文彦
ネジ回し‐安江渡
削り回し‐杉田健治

そこはまだ建築途中の家。4人の若者たちが夜な夜なそこに集まってくる。彼らは何をするでもなく、ただ不安を抱えている。ある晩、その中のひとりが隣の家に携帯電話を投げつけた。昼間はその家を建てている若い夫婦や大工達が家を見学している。その夜、事実を知った夫婦達は彼らとの接触を謀るも、失敗。ワタ雲とナミ雲がそこに立て篭もることに。
2人はそこで何年の月日を過ごしただろうか。20年。20年経った今、彼らはそこで余生を過ごしていた。そこに現われたのは若い夫婦。実の息子夫妻で、この家を建ててくれた本人達だ。彼らは家族とも言えないような距離感で話をし、休日の一時を共有する。ただ何もかも忘れていくワタ雲とナミ雲。過去にあった事件のことを振り返るも、思い起こすのはぼんやりとした面影ばかり。居なくなった猫とヒツジ雲さえ同一化され、換気扇に吸い込まれるように次々と記憶を失っていく2人だった・・・・・・。


まだ建築途中の他人の家に侵入した若者たち。左奥、山崎まさ美。右手前、山口真。


シーン3。お茶を持った大工と夫婦。左から杉田健治、吉田文彦、小関裕子。


仕事について悩む大工達。左から安江渡、杉田健治。


シーン6。息をする家族。左から小関裕子、吉田文彦、澤村めぐみ、用松豪。


シーン7。記憶の中の人々。左から澤村めぐみ、山崎まさ美、用松豪。


シーン7。記憶の中の人々。左から澤村めぐみ、山口真。

2時間の長編。ストーリーを読んでも何のことかわからない。自分でも書いてて何もわからない。いやあ、役者は難しかったでしょう。とにかく新しい劇場だし、セットも動きもシンプルに無駄なくやろうと。あと、奈落が2つあったので、それを利用し1階と2階という設定をもなくして、シニフィアンとシニフィエを戯れさせて、相変わらず「わからなかった」というアンケートが多かったのは、もううちの特徴のひとつということでしょう。「存在」についてもずっと考えていたので、今までにやったことのない演出にも挑戦しました。劇作面では初の「円環法」(最初と最後が同じシーン)を使用し、(というか、円環法は逃げ道みたいで嫌いだったんですけど、時間の問題を醸し出すには致し方なかったんです)鬼に金棒!最後の作品として完結させました。