しめやかなはたらき

劇団 鬼に金棒!Vol.3 『しめやかなはたらき』
1999年2月5日(金)〜7日(日)
プロトシアター
作:黒沼佰見
演出:倉光仁美
音響:鈴木隆一
照明:松本隆
舞台監督:石田暁子
出演:布施幾子/山口真/吉田文彦/熊田美也子/平野敦資/
玉山悟/黒沼佰見/荒川健太郎/澤村めぐみ/白石敏行/城戸綾

若くして夫に先立たれた一人の女・時子(布施)。斎場には未だ見ぬ彼の親族が訪れた。夫にそっくりな弟・渡(山口)、その妹・舞(熊田)、その叔父・忠(吉田)。さらには会社の人々(玉山・黒沼・荒川・澤村・白石)も。そして近所の若妻(城戸)。頼みの葬儀屋(平野)も何だかおかしい。通夜、葬儀の二日間。時が経つに連れ、死んだ夫・慶の意外な一面が明らかになる。それでも死んだ夫がどんな人間だったかいよいよわからなくなる。時子の記憶の中で蘇る夫の姿。形骸化した葬式の形から一歩外に出たことで、本当の別れは見えてくるのだった…。


葬儀屋の平野敦資(左)と謎の伯父・吉田文彦(右)


手前左から、熊田美也子、澤村めぐみ、玉山悟
奥左から、城戸綾、荒川健太郎、白石敏行


何故かあるゴルフシーン。
左から、黒沼佰見、荒川健太郎、城戸綾、玉山悟

自分の戯曲を初めて手放し、演出を任せた作品。演出家の意向により、一場ものではないものをとのことで、それならそういうものも書いてやろうじゃないかと書いたのだった。役者も一新し、たくさんの人を招いた。特に主演は日芸演劇学科演技コースの布施幾子を抜擢した。演出を任せるというのは、なかなか良かったんじゃないかと思っている。自分一人では見えない部分もわかってくるし。で、この回は演出も主演も女性ということで、「女」というものを大いに考えて書くことにした。女性の持つ文化的なものとか、そういったものも全部ひっくるめて。あとは、フロイトの提唱した「喪の仕事」をテーマに、「別れ」というものを考え続ける毎日だった。