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ノイズ汲み取り室

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ルール:一日一文字ずつ「ひらがな」を入力していき、漢字変換は頃合いを見てまとめて行いつつ、あまり先のことを考えないで文字を選ぶことにして、ときどきまとめて読み返す。この繰り返し。書いているわたしもどうなるかわからない。

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 昨日から思っていたのだけれど、終わりはいつになるのか、そもそも終わりなどあるのだろうか。思いは重い。しかるべき大きな声さえ出れば、重い思いも下ろせるようになるかもしれないと思うが、自信はない。
 出口が思い出せないのももしかすると気のせいかもしれないし、もしかするとあいつのせいかもしれない。深海に眠るあいつが運動の一エネルギーを出したせいなら納得できる。
 かものせおったねぎをうりつけ


 つまった医師が外ではレッスンしていた妻に、どれほど苦衷を示したか記した。理髪チームに夜は馴れ初めを語り、築いた仮説をランダムに説く。「ビンから腰まで五寸。つまり陽射しに弱いオスが、穴を見つけ息絶えたのだ。もし老衰なら出来合いの浮きではなく、二万の血がいる。」
 「ポンプで汲もう。」
 寝間着で行進する妻を罵り、セガワは目付きの悪い猫と岸へ向かった。赤苔に埋もれたコインを妻は皿にぴょいと乗せ、一汗かくと庭の虫を物干しでついた。
 「バクチクと老婆の双子を酔いつぶし、暗室でチョコを溶かし、対岸の猫に昔の自分を差し出した。」
 そう告白したノハラについ手をあげた飼い主はもう一度川岸を歪んだ足で進む。 「5時でいい?」
 「いや…蛇口がないし、6時にボスと瀧野をまた問診するから4時で。」 「朝の?」 「夜の。」
 妻の様態が悪化し、楽しみだったキプロスも駄目になり、ノイズは積木に塗る青で当時の色と変わっていた。「ラード」と呼ばれるのは来月から異臭による騒動が起こるからで、下からの字幕で接続された福沢とは関係ない。まず市場で鰤のかまを買う。
 月。
 「継ぎ目がしっかりしたから打破したの。」 それについて居留守は駄目だ。蟹。ガラスの器を電気的磁化系列の機関紙に添えた。
 「デカイ藻もナガイ芋も早く送ろう。辻斬りに遭うのは医師だそうだ。」
 そう言って男はノブを回した。出迎えたノハラ。ジオラマがある。ノハラは皿に串揚げを乗せ、出前の男に嘆く。「ダスターでどうするか」と言えば殴る。手間をかけた。待った甲斐があった。廊下にオカモチを忘れて男は帰って行った。ノハラは雑な男だ。蔕のない苺は一度土の中に埋めるし、メダカだって埋める。あげた金を「返して」と怒鳴り、トマトをトマトと思わない。ババシャツの古いものもベッタリしたな。誰もいないし、カラカラだし。

 —人生は綿菓子使った泥ご飯—

 立て札を読む医師の目は、デスクの上のメダカを思い、腰で押さえた継ぎ目に石を詰めた。浅い。浅いのに揉んだ石を詰めた。出方次第で、歯型の脇の小腹肉をつまむ。
 夜はまだ明けない。 札付きのYシャツをおろし、テノール歌手は歌う。ビブラートで揺れるのど。
どんなに管が分かれたカシラとはいえ、ノハラは彼を尊敬していたし、セガワ達にとってもノハラは体がいいだけではなく、ボンと傷害額支払うだけのー健気な仕草を顕さないードキッとするような粗雑さも魅力だった。イヤリングを買い、駄目な男だけど彼にやる。それからボスと会うために来た道を戻った。猫が川辺で歌いながら顔を洗い待っていた。
 ボスは妻のサンダルで庭に出ると、死骸をつまみ上げ一口。「出たわね」と妻が石段を降り、ナタを振る。
 セガワが帰ると理髪チームが生の肉をペロリ。タキノはもういない。ボスが縁側に右耳を乗せ、髭剃り。
 「血は足りないが、まあいい。さらに二万の苔が要る。芳子のだから返すとして、どうやって苔を手にするか。それが門の前にあるらしいのだが、門がどこにもない。鹿のツノはあるが、確か駅前のタワシ屋には亀の子占いがあるらしく、だから砥石屋で見たツノは犀のもので、花屋で見たのは象の鼻だとわかったのだ。」と言うと、ボスは渦の真ん中で座禅。理髪室には肉。「ノハラのジオラマがただ女性の気持ちを揺らすだけでは磁化系列の変容を…」電話は切れた。「ノイローゼよね、この子」。妻は言う。「磁化系列って何?」妻。「ん? ないな、門」
つまりながら医師の手は天に伸び、瓶の底から垂れた蜜は雄の干涸らびた皮膚に染みた。掴んだツタはコシがない。溶鉱炉から出た。
「製鉄の仕事は片手間ではできない」とバクチクは言いながら片手にワイン、片手に石炭といういでたちであり、老婆はそれを見、ていのいい言葉で語りかける。「誰でもいい、身体がジボガバ…」。老婆の姉の入れ歯が飛び、妹が打ったのも歌いたいからだし、掃除管理のしごきに耐えられず、「どうして片眼でゴミを拾えよなんて云うの! 下腹部に激痛が走るし、撒いた血が固まるまで地雷拾いです!」「決まりだし、借りた金は返すよ、うだつのうはうまいのうだよ!」「猫の行く手を阻むのは私よりもリカのほうが適任で、使用人の殺気を感じたノハラさんが出ていくべきだよ!」
 「姉妹には払わなければな。」 医師の声で遮られた会話は行方を失い、用意されたアルコールで消える。溶けて。
 まだ叱られたことのないいい奴が、荒い口調で叫ぶとき憎らしいあいつに言った言葉は「飛べ」。
 「余興の準備で忙しく車の故障に気付かなかったのではなく、ただ車に興味がないだけで事件を引き起こすことになるとは思わなかった」と言うが、「それは嘘だろう」と医師は咎めたので、バクチクは速やかに手を引いたし、菓子折は返した。
 「白々しいなかにも清々しさを感じられるのは、乱暴なノハラにも東の風・風力3がぶつかりたじろいだのだからゆかりのことを許してあげよう」と姉は言うのだし、「掘り出したコインを拾い上げた妻はつまりかけた夫を足蹴にした後、一人で屋根にのぼり失い欠けたものは何か考え、手にしたノハラの靴を揃え、ルートを改正するとまた梯子を下り、夫に飴を投げつける、それも夫への尊敬の念から来る行動だからだ。」
 ユカリがそう思うのも無理はなく、開かれた骨壺にはハサミが2本入っており、あの理髪チームの形見であることはすでに誰もが知っていたし、引きずっている音、この響きは女の行方を知らせる言葉を思わせ、もし、つもんされた、いや、質問されたなら、必ずやめるところだが、家庭に入られては困るので、なんとか摘み上げた。
それも罪になる。出戻りの女の悲しみはない。飲み会の席でもない限り本音は語らぬ。
寝起きであればまだしももう昼だし、今さらだが猫の行方もわからぬままこの地域にある知識の保管場所に新しい左ハンドルのボルボを突っ込んだのがまだ二週間前で、小姑の怒りを買うのも無理はない。もしモグラ穴から出られたならば、オスの躰を傾け、手を摘み上げ逆さにしたいところだが、しかしそれにしてもここはあまりにも狭すぎる。
 「『罠だ、獣だ』と、騒がずにみな誤魔化しながら生きているわけだし、許してあげよう」と囁いた医師をもう一度蹴り上げた妻が言う。
 「急いで出ろ」と「酒を持ってこい」と。
 「それはないだろう」と言う医師の言葉などむろん無視され、妻は飛び上がってテノール歌手の元へ走り、「カトウ!」と呼ばれると一直線に引き返し、「炭酸ガス、きなこ、ニラを買って、ユタカに渡しておけ」と言い捨て、また走り去った。どん底の男には知られぬように床下の機械を鰻の穴に入れ、時計の腹巻きと隣り合わせに置いて、おいて行かれぬようにテノール歌手を追いかけたのにおいて行かれた女は、このサイダー瓶に仕掛けられた罠を何となく利用した。北からの路のせいではなく、朽ち果てた切り株に寄生した虫が吐き出した液体がボイスパーカッションを奏でるテノール歌手にかかったために女は落ち着きのない態度で本気になって怒りをあらわにし、「虫から何からすべからく本格的に食い尽くすべし」と何か言ってるわけで、「つまらないことを言うな」とテノール歌手は反り返って腰を悪くしたものの、「そんなに苦しまなくてもいい」と窘められ、肩の荷が思ったより降りたのだろう。
 妻の近くには菜の花、鹿、子鹿。孫鹿。鹿しかいない。軒先には浮きがまだ山ほどあった。
 「陸揚げされたい方、力を貸してくれる方には、苦み走った方にも、優秀賞を差し上げたいと思いますが、いかにもな感じではいやなので、困ったことにならぬよう是非年の順に並んでいただきたいのですが…」
 式辞を述べたつもりではなかったのだが、「すでに形はそうなっていた」と言われ、「岸まで戻り確かめることにしたい、しかし今となってはもう戻れない。」と大袈裟に振る舞っても、牛のようにはなれないので仕方なく腰だけはかばいながら医師は改めて言った。
 「しかし、馬の総勢五十五頭の勢いに押されてはどうしようもないのですが、改めて言わせていただければ、優秀賞を差し上げたいと思うでの、いや、思うので、並んでいただきたいのです。」
 さして重くもない鹿の置物だが気が付くと重い。
 用紙の裏に書かれているシナチクの絵を消してしまえばいいのかもしれないが、かさばる気配を感じたので、あいかわらずしまい忘れたデジタル時計に気を取られている鹿を呼び込み、墓下に埋めた妻に言う。
 「左手の栗きんとんをまずは離してしまえばいいのに」
 「やかましいわ!二階で寝てろ!」と返す妻。
 しきりに謝って二階に下駄を投げる。石を投げる、蕎麦に汁をかける。穴を埋める。年甲斐もなくシマウマを蹴り上げる。ふと視界が曇り始め、黄緑色のシャツが灰色に見え始め、泥にまみれ、できたてのパンも炊きたての米もまずそうに見える。仕出しの弁当さえやばそうだし、胡麻がないし、または暇を見て胡麻をかけてはどうだろうと言う者もいるが、陳述による資料を出して見てみるまでもなく、老婆の双子の姉妹には教えていたあの計画を実行するしかないだろう。
 まず隣町まで行き、鶏のムネ肉を調達したところで、舌平目と香草も購入し、メニューを改めて考え直さなければならなくなったので、計画を練り直さなければならず、さらに派遣された男が言うことには、「トリとヒラメの学校があるからそこへ行き、授業を受けてこい、さすれば道は開かれん」とのことだが今となっては何のためにここにいるのかわからなくなった。放心するより仕方ない。楽になるには寝床に入って今すぐ寝ることだが、それも今は無理だ。できない。そればかりか座ることさえままならない。「軒下に住む野良犬が汚らしい竹箒をくわえてくるのを黙って見ていることしかできなか…」「いたのか!まだ!」と声が響くと、「いいか、お前らこんな戯言に耳を貸すな!すぐに出ていけ!」
 かき消された声は医師の心の声で、かき消したのは妻のそれだ。汗が出る。
 医師は仕方なく電子カルテからとある患者のデータを取り出すと、地図に印を付け歩き出した。
 沼を抜け、森の前に立つ。鳥の羽音が聞こえる。木々のざわめき。ひんやりとした風。「ガラン」と誰かが声に出して言う。「ガラン」と暗闇から声が聞こえてくる。音の鳴る方へ足を向けることにし、手を握りしめる。汗が額を垂れる。
 あとから来たノハラが笑いながら言う。「ガラン」。ところが声は帰ってこない。
 しきりに食いちぎられないように高速でバスを乗り換えてきたノハラにはまだ知らせていなかったが、これから音という音が消える。そればかりか見たこともない光まで見えるかもしれず、このままノハラを帰らせてしまえばよかったのだが、今となっては連れて行くしかない。汚らしかった靴を磨き上げてしまえば、盲導犬が来る頃にはにおいも消えるだろう。
 遠くの方で聞こえていた烏の羽音もいつのまにか聞こえなくなっていた。この下に眠る金属もその高音を逃がした。引き替えに喉に突き刺さる光。痛みも伴うほどではないが鋭利な可視光線がかき切るような動きで首を捌こうとする。「パン」という文字が浮かんですぐ消えた。然るべき対応ができれば、音を戻せば、名前を呼べるかもしれない、そう思ってはいるものの声が出せないままであるのだから名前など振り絞れない。