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パターナリズム
歯医者へ、四時間の大手術
- 2010-10-03 (日)
- 哲学・倫理
●目が醒めたのはギリギリだった。一人準備して軽く握ってもらったおにぎりを腹の中に突っ込む。車で朝10時に予約していた歯医者へ。
●すぐに呼ばれたが、終わったのは14時くらい。4時間である。そもそもが昔の詰め物の中身を掃除して、また新しくかぶせようということだけだったのだが…。右下の歯、おそらく17年前くらい前にかぶせた銀歯の中がしっかり虫歯になっていたらしい。この虫歯を全部削り出すと結局神経にあたると言うことで、神経も削りだしてもらうことに。
さて、ここで、新しいかぶせをセラミックにするか、銀歯にするかということで、何気なくセラミックを選んでしまった。二本分で14万円なり。うーん、奇しくも自分の誕生日に支払うことに…。それくらい払うんだったら、今ほしいものいっぱいあるんだけどなあ。あと、引越資金やらでこれから嫌でも入り用になるし。これ以上はもう歯にお金をかけないようにしよう。これが最後だ。あとは保険が効く範囲で充分だ。
何だか、あとになればなるほど後悔する。約束書みたいなのを先に書かされちゃったし。悪い歯医者じゃないんだけどね。ただ、別のことは丁寧に説明してたけど、パターナリズム的なところでもちょっと納得いかない。
●そんなこんなで書いていたらだんだん嫌な気分になってきた。自分のこの判断力の弱さにちょっと嫌気がさす。
●それから新居の為のカーテンを見に行く。これも、工事業者にお願いした窓のサイズがやや規格外のために自分たちでカーテンレールを見繕わなければならなくなったのだ。そういう中途半端な仕事はしないでいただきたいんだけど。
●いずれにしても、専門家に仕事を頼む際のパターナリズム。どうなっているんだろう、最近。前よりあちこち悪くなっている気がしないでもない。うーん、せめてわたしが自分のプロとしてやっている仕事に関しては、職業倫理上、同じようなことはないようにしたい。
芝浜とパターナリズム
- 2008-11-06 (木)
- 雑記
●三遊亭金時さんの落語を聴く機会があった。どこでどう聞いたかは、リンク先のご本人の日記を読んでいただければわかるけれど、題目は『芝浜』。ご本人もお話しされていたけれど、やはり「噺」というだけあって、何度も聞いている話でも新らしく聞こえてくるから落語は不思議だ。
●で、芝浜の噺を聞いていて、もちろん人情噺としての面白さはよくわかるものの、ただ妻の「言わない」(というか、夫を騙す)というその一点において「パターナリズム」を思い起こしていた。もちろんこの場合夫のだらしなさを立て直すための数年間にわたる嘘であるものの、ソフト・パターナリズムであることには違いない。あ、でも、財布をネコババしようとしている段階でそもそも夫が駄目なんだけど。ああ、そういう意味では直接的パターナリズムとも言えるわけで、まあ、批判すべきほどのパターナリズムではないか。とにかく、この妻の判断を倫理的によしとするか、悪しとするか、それ以前の浜辺で拾ったネコババは倫理的によしなのか、悪しなのか、あらためて疑って考えてみるのも面白い。それでまた別の話も出来そうだ。
●今日もまだ脳がきゅうきゅうとしている。落語で少し楽にはなったけど。
価値観と平明さ
●久しぶりにパターナリズムのことを思い出していた。
いわゆるオマカセ主義もパターナリズム(父親的温情主義)を助長する姿勢として、挙げられるわけだが、わたし自身がこのパターナリズムに陥ることがとにかく嫌なのだ。特に仕事においては。それでもいつの間にかそうなってしまいかねない状況になっていることに気付くと吐き気がする。
●『知の攻略〜思想読本』(作品社)というちょっとどうかと思うタイトルのMOOK本で「ハイデガー」の巻があって、それを購入していたのだが、ふと気になって読み始めたのは、もちろん『ブリタニカ草稿』のこともあるけれど、古井由吉氏と木田元氏の対談に興味があったからだ。
そのなかで、まず『存在と時間』が表現主義だとある。そして、現象学そのものも表現主義だと。つまり、古井氏の言葉を借りれば、「主体と客体の中にあるものをすべて外に押し出していく。それを観察して表現する」のが現象学というわけだ。まさしくそうなってくると、表現主義的なことになってくる。
見学者の作り方もそうだが、わたしがハイデガーに惹かれたのもおそらくはこの表現主義的な手つきになのかもしれない。
●さらに、核心的なところで木田氏は「表現主義の文体は何かと言いますと、凄まじい形容詞がいくつもいくつも並べられて、最後に実につまらない名詞が来る(笑)」と語り、それはまさしくその通りだが、それに対しての古井氏の言葉には何か示唆するものがある。
文章の平明さというのは、その世界の価値観の安定とやっぱり関係がある。価値観が揺らいだところで平明な文章を書くということは一種の偽善になるわけです。文学的偽善、哲学的偽善。かといって新しい文体はそうそう簡単に生み出せるわけではない。だから、例えば形容詞をいくつも連ねる。一方では論者の情念のたたみかけということもある。けれども、形容詞の持っている既得の情念なり、観念なり、喚起力を無化していくというところもある。-中略- ハイデガーは一種のパトスから形容詞をたたみかけてくるけれども、よく見ると、その形容詞をできるだけ従来の情念から洗い直すためにたたみかけてくる。最後の名詞がつまらないというのは、名詞はどうにもならないから。(笑)(対談「ハイデガーの魔力」より)
21世紀初頭の日本の団塊の世代が過ぎ去ったあとの日本社会が待ち受けるのは、また新たな価値観の世界になるはずだ。
それを踏まえて、見学者としての活動をさらに続けていくことにしよう。
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